絶句

『友よ』

もし君が絶望の時 涙の河を渡らんとする前に
ぼくがその岸にいる事に気付いて欲しい
もし君が憤怒の時 刃を手に赴かんとする前に
立ちはだかるぼくに気付いて欲しい
もし君が病の時 運命の足音が遠ざからんとする前に
御仏の存在に気付いて欲しい
友よ掲げた理念の灯が風に揺らぎ消えなんと
しようともその歩みを止めてはならぬ
険しき道を征くのは君一人ではない
ぼくの舟で涙の河へ漕ぎ出そう
刃を慈悲に持ち換えよう
運命には限りがあるのだから一足先に
花園にたどり着くのも悪くはない
友よ嗚呼かけがえ無きわが友よ

さらば、ポール牧